編集や査読により、掲載論文の内容を保証する学術雑誌の信頼性は、高く評価されるものです。また、流通形態が同一であるほうが、情報の信頼性を容易に判断できるであろうということも想像できます。
しかし、現在は、学術情報の流通範囲が非常に限定されています。たとえば、価格高騰に伴い、電子ジャーナルを契約できない機関が出てきています。また、インターネットで検索できない情報はないものとして扱われる傾向も生じています。インターネットの情報は玉石混交ですが、「玉」の価値を持つ情報を積極的に公開することはこのような風潮の中、非常に意義のあることです。公開できるものが、publisher版であるに越したことはありません。しかし、査読済みの著者版原稿であるauthor版も、情報への入口として、また内容を知る手段として、貴重な学術情報であることは疑いようはありません。
学術研究は先人の知恵を継承し、発展させ、次世代につなげていくものです。学術情報の流通範囲が拡大し、研究の裾野が広がることで、その分野の研究が発展していくのではと考えています。